「カワサキに想う」 44-8
「カワサキによって徹底的な改良が施されたW1のクランク回りを目にしたら、BSAのコピーなどとはいえないはずだ」
CRANCASE
まずは最上段にあるクランクケース左からベアリングが収まるあなの周囲の肉ずきを見ると、段違いにかわさきW1Sのほうが丈夫そう、内側から見るとカワサキW1Sの穴の周囲の色が微妙に変っているが、この部分には長年の使用による磨耗やガタを防止するための鋳鉄材が鋳込まれているのである。
BSA-A10外左側に見える小さなパイプはブリーザー、続いて2段目の右側ケースはクランククランク支持がメタルブッシュであるBSA-A10は穴が小さいが、カワサキW1Sは左側ケースと同様のサイズで(外側に追加されたベアリングストッパーを見ると、設計の難しさが偲ばれる)
タイミングギヤーケースはBSA-A10のケースとカバーの二つに分かれるが、カワサキW1Sはギヤーケース部分がクランクケースと一体化されている。
尚、左右クランクケースの結合は、BSA-A10:ボルト+ナット、カワサキW1S:スタッド+ナットである。
CRANKSHAFT
一体鋳造のBSA-A10に対して、カワサキW1Sは組立式剛性では一体鋳造に分があるが、耐久性と言う面では組立式に軍配がが上がるのが一般論、K2以降の設計を担当した稲村さんが次に手がけた並列4気筒のZ1も組立式クランクである。
クランクシャフト左右のベアリングは、BSA-A10:左ローラーパイ30/62mm、右メタルブッシュパイ26,9/34,8mm、カワサキW1S:左ボールパイ35/80mm、W1Sクランクの横に写ているベアリングはボールの数を通常の規格品より多い12個とした専用設計品、しかし、エンジンを賞賛している富樫さんは唯一気になるフライホイルの形状「W1Sのこの型だと、英車みたいな穏やかで気持ちの良い回り方はしないでしょうね、バランス的には問題ないのですが」とは富樫さんの弁である。
t-hirai